「もっと自分らしく生きたい」
「本当の自分がわからない」
「素の自分を見せたい」
こうした言葉は日常的に使われますが、
そもそも “本当の自分”とは何でしょうか。
私たちは「一番深いところに本来の自分が眠っている」と信じていますが、
心理学や脳科学の視点で見ると、
その「本当の自分」は とても曖昧なもの であることがわかります。
むしろ、こう言えるかもしれません。
◆ “本当の自分”は、存在しない。
多くの研究が示すのは、
👉 人は状況・相手・環境によって、まったく違う自分を生きている
という事実です。
◆ ① 自分は “ひとつ” だと思い込んでいるだけ
家族の前の自分、学校の前の自分、
友達の前の自分、SNSでの自分──。
すべて微妙に違うのに、私たちは
「これらをまとめた“本当の自分”がある」と信じています。
でも実際は:
人は「複数の自分(セルフ)」を持つ生き物。
心理学では「多面的セルフ」と呼ばれる考えがあります。
どの自分も“本物”で、どれか一つが“偽物”ではありません。
◆ ② 性格よりも“状況”が行動を決める
人は「性格だからそうする」と思いがちですが、
行動心理学では 性格より状況の影響の方が強い ことが知られています。
・静かな場所ではおとなしい
・仲間の中だとはしゃぐ
・責任を与えられるとリーダーになる
これらは全部、
「内側の本当の自分」ではなく
「外側の状況」が引き出した自分 なのです。
◆ ③ “本当の自分”を探すほど苦しくなる
人は「本当の自分」を探す旅をしがちです。
でもそれは、
🎯 ゴールのない迷路に入るようなもの。
理由はシンプルで:
自分探しの旅は、“まだ違う自分がいるはず” という幻想を追い続ける行為だから。
◆ ④ では、どうすればいいのか?
答えはこうです。
👉 自分を“作る”と決める。
“探す”ではなく“選ぶ”。
“見つける”ではなく“育てる”。
人間は
「本当の自分を知る存在」ではなく
「自分という物語を、作り続ける存在」
なのです。
◆ ⑤ 「今の自分」こそ本物である
本当の自分はどこかに眠っているのではなく、
いま選んでいる行動、いま感じている言葉、
いま目の前で生きている自分こそが
一番リアルな“本当の自分”。
だからこそ、未来の自分はいつでも書き換え可能です。
◆ まとめ
- “本当の自分”は固定されたものではない
- 人は状況に合わせて複数の自分を生きる
- 自分探しは終わらない旅
- 自分は「作る」ことでしか生まれない
- 今ここにある自分が、もっとも本物


